故人の遺産を葬儀費用に使用したら相続放棄できないって本当?

亡くなった被相続人が財産を残していた場合、それを相続する権利を放棄することを相続放棄と言います。
故人の遺産を葬儀費用に使用したら相続放棄できないという意見があるのですが、それは本当なのでしょうか。
事情があり相続放棄の手続きをしない場合、正しい知識を身につけておくことです。

相続放棄をする場合、被相続人が残した遺産に手をつけてはいけないことになっています。
手をつけてしまうと、単純承認となります。
単純承認とは被相続人の一切の財産を無条件で相続すると認めることであり、民法でも規定があります。

民法上の単純承認が認められた場合、相続放棄はできません。
つまり相続放棄を考えている人は、故人が残した財産に手をつけない方が良いのです。

しかし葬式費用については、単純承認とはならないという判例があります。
裁判で被相続人の身分相応な葬儀を行った費用について、被相続人の財産から支出した場合単純承認に当たるかどうかが争われたことがあります。
身分相応の当然営まれるべき程度の葬式費用に充てられた場合は、単純承認には当たらないという判決となりました。
葬式は社会的儀式と必要性の高いものでその時期を予測することは困難であり、葬式のために相応の費用がかかるという理由です。

つまり故人の遺産を葬儀費用に使用しても、妥当な金額であれば相続放棄は可能なのです。
ただし葬式費用に含まれるものと、含まれないものがあるのです。
葬式費用に含まれるものですが、相続税法上決まっています。
たとえば死体の捜索や運搬にかかる費用、遺体や遺骨の回送費用、葬式または葬送にかかる費用などです。

他にもお通夜の費用や読経料などのお礼に係る費用が、葬儀費用として認められています。
上記した5つの項目に関しては故人の遺産を使用しても、相続放棄に影響しません。

ちなみに墓石や墓地の買入または借入費用、初七日や法事などの費用や香典返しの費用などは葬儀費用として認められていません。
ただし社会的に必要な範囲で墓石などを購入する必要がある場合は、単純承認に当たらない可能性もあります。
裁判所は断定できないという立場であるため、詳しくは弁護士に相談すると良いでしょう。

以上の通り相続放棄が認められるためには財産に手を出さないことが条件となるのですが、葬儀費用に含まれるものに関しては話が別です。
過去の判例でも単純承認とはならないため、相続放棄はできないという意見は間違いとなります。

葬儀費用の平均相場は?